介護週刊 #1 〜 特養・老健報酬、ケアマネ不足、身元保証 他 〜
7月4日〜10日号
特養・老健の基本報酬「異次元の増額を」 審議会で要請相次ぐ

出典・写真: 介護ニュースJoint(7月9日)
厚生労働省は7月9日、2027年度介護報酬改定に向けた社会保障審議会・介護給付費分科会を開き、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの施設系サービスを取り上げた。
共通の論点は「安定的にサービスを提供するための方策」。物価高騰や人材不足で運営コストが増すなか、関係団体からは基本報酬の大幅な引き上げを求める声が相次いだ。
厚労省の調査では、特養の利益率は1.4%、老健は0.6%で、全サービス平均の4.7%を大きく下回る。全国老人福祉施設協議会は「基本報酬の大幅な底上げが必要不可欠」と訴え、全国老人保健施設協会や日本医師会からも「異次元の増額が不可欠」との指摘が出た。
自治体委員からも経営支援を求める意見が続き、生産性向上とあわせたメリハリのある施策を検討すべきだとする声もあった。現時点では議論・要請段階であり、報酬の引き上げ自体は決まっていない。
処遇改善加算の実績報告書、厚労省が様式を差し替え

出典・写真: 介護ニュースJoint(7月9日) / 通知: 介護保険最新情報 Vol.1522
厚生労働省は7月8日付の介護保険最新情報Vol.1522で、介護職員等処遇改善加算の実績報告書(別紙様式3)について、公式配布のExcel様式を差し替えたと周知した。
対象は令和7年度(2025年度)分と令和8年度(2026年度)分で、通常版・大規模版の双方。計算式や記入メモなどの修正・追記が中心だ。今年度分では、新たに処遇改善加算の対象となったサービスのみを運営する事業所向けの記入方法や、ケアプランデータ連携などの特例要件に関するメモが加わっている。
算定要件そのものの変更ではない。 これから作成・提出する事業所は最新様式を使うこと。旧様式で提出済みの場合は、再提出の要否を都道府県・市区町村など指定権者の案内で確認したい。
ケアマネ不足と処遇改善 サービス開始の遅れと議連・協会の動き

出典・写真: テレ朝NEWS(7月10日) / 関連: 介護ニュースJoint
介護保険サービスの入口となるケアマネジャーが足りず、認定を受けてもサービス開始まで数カ月かかるケースが各地で報じられている。報道では「ケアマネ探しに3カ月」といった事例も紹介された。
厚労省の数字では、要支援・要介護者は約736万人に対し、ケアマネジャーは約18.3万人。横浜市では利用者増に対しケアマネ数がほぼ横ばい、といった地域例もある。背景として指摘されるのは次の三点だ。
- 人材の高齢化 — 主力が50〜60代で、新規参入が追いつかない
- 精神的・物理的負担 — 連絡・調整・オンコールなどの負荷
- 報酬との見合い — 専門性・責任に賃金が追いつきにくい
受験資格の厳しさや合格後の研修負担も、担い手不足の一因とされる。
同週、日本介護支援専門員協会は自民党のケアマネジメント推進議員連盟に要望を提出。居宅介護支援の基本報酬引き上げや処遇改善に加え、特定事業所加算の24時間連絡体制の柔軟化(併設施設やオンコール代行による一次対応など)を求めた。議連側も処遇改善を柱とする決議をまとめている。
いずれも要望・議論段階だが、「入口」であるケアマネジメントの供給体制が、来年度改定の焦点のひとつになっている。
SOMPOケア、AI議事録を全約1100拠点に導入

出典・写真: 介護ニュースJoint(7月8日)
SOMPOケアは、音声認識による議事録作成ツールの導入を全国約1100事業所で完了したと明らかにした。担当者会議やモニタリング、カンファレンスなどの記録作成に活用し、1事業所あたりおよそ月10時間の業務短縮効果を見込む。
鷲見隆充社長は、テクノロジー活用の目的を単なるコスト削減ではなく、人手不足を乗り越え「人間尊重の介護」を実現することだと語る。あわせて次の取り組みも進める。
- AIケアプラン — 初回原案作成で約3時間効率化を見込み、今年度中の本格導入を計画
- AIカメラ — 転倒防止や事故確認・報告書作成の効率化(1施設あたり月約7時間圧縮を想定)
- 人員配置 — 生産性向上の成果として、介護付きホーム148施設で3対0.9配置の届出済み
生産性向上の経済効果は今年度で約15億円、2022年度比では約40億円規模に達し、処遇改善の原資にも充てているという。
自社モデルの業界への共有も視野に、「品質を伴う生産性向上」と持続可能な介護環境づくりを掲げる。個人情報の取扱いや出力内容の確認など、運用ルールの整備が導入の前提になる。
身元保証人不在で施設入居に壁 推計約52万人

出典・写真: 時事ドットコム/PR TIMES(7月7日)(一般社団法人あんしんの輪)
一般社団法人あんしんの輪は、単身高齢化を背景に「家族による身元保証が困難な要介護・要支援高齢者」の独自推計を公開した。施設入居時に身元保証人が確保できず実務的な壁に直面するリスク層は、全国で約52.1万人に上るという。
都市圏への集中が目立ち、東京圏で約14.8万人、大阪圏で約10万人。都道府県別では東京都(約6.7万人)、大阪府(約5.4万人)、神奈川県(約3.5万人)が上位だ。推計は公的統計と民間シンクタンクの最新値を掛け合わせたもので、都道府県別・都市圏別データとPDFレポートを無料公開している。
身寄りのない高齢者の人口マクロはこれまでもあったが、「施設入居という転機で保証人がいない」という実務リスクを地域別に可視化した点が新しい。自治体やケアマネ、施設側の受け入れ設計を考える材料になりそうだ。
国際園芸博のシードペーパー 鎌倉の障害者施設が協力

出典・写真: 福祉新聞(7月10日)
2027年3月開幕の国際園芸博覧会(横浜)で、来場者に配る「シードペーパー」(花の種をすき込んだ再生紙)の制作に、鎌倉市内の障害福祉事業所が加わっている。虹の子作業所や鎌倉薫風など13事業所が、台紙にはさむ手作業を4月から進めている。
制作はすべて手作業で大量生産に向かない。商標を持つ鎌倉市のスープは「障害者はじっくり丁寧にやってくれるので親和性が高い」と話す。園芸博のテーマ館では約200万人への配布を見込み、持ち帰った人が育てた花の写真を「きぼうの樹」として会場スクリーンに投影する参加型企画も動く。
主催側は、古紙再生が循環型社会に合い、障害のある人が制作に関わる点が共生社会にも沿うと位置づける。事前配布はすでに始まっており、写真投稿は8月から受け付ける予定だ。